1.映画興行ビジネス
 画を劇場公開し、入場料で商売する映画興行ビジネス。そのビジネスは大きく2つに分けることができます。

1.興行会社・・・劇場の設立、設備投資、人員配置、劇場経営
2.配給会社・・・劇場に作品の供給、作品の宣伝

 行会社は、入場料収入を興行収入(興収)と呼び、そのうち一定割合を映画料として配給会社に支払います。 その支払いは、通常興行収入の40%〜70%で、この割合を歩率と呼び、その際支払われた配給側の収益を配給収入(配収)と呼びます。 オールナイト興行などでは、経費を差し引いて支払われる場合もあり、この制度を「トップオフ」と呼んでいます。 近年は、テレビCMなどの宣伝費の高騰で、配給側の負担が大きいとも言われています。

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2.メジャーとインディペンデント
 画の配給会社はメジャーインディペンデントに分けられます。

1.メジャー
 アメリカの8大メジャー製作会社の傘下で、コンスタントに作品供給を行っている配給会社
  →UIP、20世紀FOX、ブエナビスタ、ソニーピクチャーズ、ワーナーブラザースの5社

2.インディペンデント
 上記のメジャーに当てはまらない配給会社。 多くの場合、海外の権利元と個別タイトルで買い付けを行ってラインナップを組むそうです。
  →ヘラルド映画、ギャガコミュニケーションズ、東宝東和等

 給会社の持つ映画の権利は、契約により、作品ごとに細分化されています。映画の権利には、劇場配給権、テレビ放映権、ビデオ化権、DVD化権等があり、これらすべての権利を含んだ権利を「オールライツ」と言います。

 本映画の場合は、興行と配給を両方行っているケースが多く、特に大手である東宝、松竹、東映は顕著な例です。 アメリカでは、興行と配給をひとつの企業が運営することを、独禁法で制限しているそうですが、日本では映画事業の出発時から制作まで含めた一貫体制が基本となっており、現在でも興行と配給を併せ持つスタイルが見られます。

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3.洋画チェーンと邦画チェーン
 ェーンとは何かというと、都内の劇場を中心として、全国で同じ映画を上映する各劇場間の系列のこと。

1.洋画チェーン
 現在、国内において実質的な支配力を持つ映画興行会社は、東宝、松竹、東映、東急レクリエーションの4社。 洋画系ロードショーチェーンには東宝洋画系(以後TY系)と、松竹と東急レクリエーションの劇場で形成される松竹・東急系(以後ST系)の2つに大きく分類されます。

2.邦画チェーン
 東宝、東映各々が持つ独立した2系統のチェーンがあります(松竹邦画チェーンは「39」を最後に解体し、松竹洋画系で柔軟に対応)。

 列内のメイン館となる劇場はチェーンマスターと呼ばれ、高い集客力を誇っています。 配給会社にとっては、自社作品をより大きな劇場チェーンにかけることで、効率的に収益を生み出すことができます。 特に、TY系の日本劇場系、日比谷映画系、日劇プラザ系の3系統、ST系の丸の内ピカデリー1系、丸の内ルーブル系の2系統は Aロードと呼ばれ、実績、信頼度ともに高い評価を得ています。

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4.ブロックブッキングとフリーブロッキング
 画系と洋画系で、作品の上映の仕方が異なります。

1.ブロックブッキング
 邦画系は、その年度の公開作品と上映期間がほぼ決まっています。 この固定システムをブロックブッキングいうそうです。
興行側・・・番組供給と売り上げ確保において、配給側から有る程度の保証がなされる
配給側・・・一定規模の公開が約束される
というメリットがあります。

2.フリーブッキング
 洋画系は、映画の上映権を持つ配給会社が各興行会社と交渉して、 劇場や時期、週数などの条件を決定するフリーブッキングというシステムを採用していることが多いです。 しかし、主要チェーンマスターと系列化した方が効率よくヒット作品を獲得できるため、 「フリー」とは言え、作品ごとに番組編成をしている興行会社は少ない。

 ニシアターを除くと、シネコンの台頭が、本来の意味でのフリーブッキングを、封切館レベルで初めてもたらしたといえます。

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5.TY系とST系
 本の2大洋画チェーンはTY系とST系で、 それぞれの系列で上映される作品は、配給会社との歴史的な経緯や資本関係で固まっている場合がある。

1.TY系
 日本劇場、日比谷映画、日劇プラザ、みゆき座、ニュー東宝シネマを旗鑑とする5系統を指す。
メジャーでは20世紀FOX、インディーズでは東宝東和がこちらで上映される。

2.ST系
 丸の内ルーブル、丸の内ピカデリー1&2、渋谷東急、丸の内プラゼールの5系統を指す。
メジャーではワーナー作品はこちらで上映される。

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6.AロードとBロード
 々のチェーンにはそれぞれ作品によってライン分けがされています。

1.Aロード
 S級の作品が上映されることが多く、それぞれの看板チェーンとなっている。
TY系・・・日本劇場系→日比谷映画系→日劇プラザ系
ST系・・・丸の内ピカデリー1系→丸の内ルーブル

2.Bロード
 作品規模にあったチェーンとして機能
TY系・・・みゆき座系→ニュー東宝シネマ系
ST系・・・丸の内ピカデリー2系→渋谷東急系→丸の内プラゼール系

 来映画の興行形態は、東京単館で公開するのを通例とし、それをロードショーと呼びます。 やがて昭和49年、丸の内ピカデリー他都市複数館で同時公開、大ヒットとなった「エクソシスト」を機に、 拡大ロードショーが定着しました。 昭和56年の「E.T.」から全国一斉ロードショーがスタート。 その経緯を経て、現在のチェーンが形成されていったと言うことです。

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7.9大都市とローカル
 画・邦画とも、全国チェーンの立脚点となるのが9大都市です。 全国一斉ロードショーという上映方法がなかった頃は、9大都市でのヒットがあって初めてローカルで上映されました。

1.9大都市
 東京、横浜、川崎、大阪、京都、神戸、名古屋、福岡、札幌の9つ。

2.ローカル
 9大都市以外の地域をすべてローカルと呼ぶ。

 市とローカルの比は50:50と言われていましたが、ローカル中心に展開してきたシネマコンプレックスの数字ののびがあり、 今後は構造が変化しそうです。 97年にワーナーマイカルシネマズ海老名の売り上げが、日本劇場を越え、98年にはワーナーマイカル全館の興行収入が、 名古屋全館の売り上げ規模にまで成長しました。

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8.全国チェーンと単館系
 こまで述べてきた全国チェーンに対して、チェーンを組まない映画館、 つまり1作品を単独で上映するのが単館系と呼ばれます。 もともとは東京都内で単独興行を実施したことから、80年代にこう名付けられました。

 初は、趣味性の強い芸術作品(アート系作品)を上映することが多かったですが、 館数が増えたこともあり、近年では、渋谷のシネマライズや銀座テアトル西友などを中心に、 エンタテインメント性をも兼ね備えた秀作を提供するようになってきました。 「ユージュアルサスペクツ」や「トレインスポッティング」といった大ヒットの誕生とあいまって、 より幅広い層に指示されるようになりました。

 れら単館系は、チェーン契約を結ぶ劇場とは異なり、 劇場自らが作品を選択し、それぞれのカラーが明確となるのが特徴で、常連客が定着しています。 また、各作品にあった独自の宣伝展開を配給会社と二人三脚で実施することで、 相対的に資金力の弱い配給会社にとって、「作品力」で勝負できるというメリットがあります。 ただし、最近ではこうした作品の買値や制作費が、人気上昇とともに高騰し、 1館で回収するのが困難な状況が生まれ、 「HANA−BI」のように、都内2〜3ヶ所でのミニチェーンを組むパターンが増えています。 もはや単館という言葉は当てはまらなくなり、こうした劇場を「ミニシアター」と呼ぶのが一般的になってきています。

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9.独立系シネコンの台頭
 在、映画興行形態の流れを変えると言われているのがシネマコンプレックスの存在。 ワーナーマイカルシネマズを筆頭にAMC、UCIなど外資系の興行会社が中心に展開しており、 狭義では、複数のスクリーンを持ち、チケット売場、入場ゲート、売店、トイレなどが 1ヶ所に集まっている新しいスタイルの映画館のことを言います。 また、映写室を1ヶ所に集めて、すべてのスクリーンをコントロールするという点も画期的です。

 ネコンの最大の特徴は、その視野がローカルに向けられたことです。 ロードショー地域である9大都市ではなく、ローカル地域の持つ潜在的な需要を伸ばし、 現在は全国で約200スクリーン、全国興収の20%以上を構成する一大ローカルチェーンを形成しました。 また、1ヶ所に複数のスクリーンを持つことによる柔軟性、 高水準の環境設備、フレキシブルな料金など、今後の興行形態を示唆しています。 最近では、東宝、松竹ともに自らシネコン建設に乗り出す意欲をみせ、各地での展開が見られます。

参照 (C)VIDEO INSIDER JAPAN 1999.9